3年前と比べて利用率が1.7倍!QRコード決済の種類とメリット・デメリット
自動精算機の導入にあわせて、QRコード決済などのキャッシュレス決済を導入する医院が増えています。QRコード決済は、決済のスムーズさ、導入コストの低さから、日本でも急速に普及が進んでいます。
QRコード決済と一言で言っても種類が豊富で、それぞれに特徴や強みがあります。
そこで今回は、QRコード決済の種類、ユーザー側のメリット・デメリットについて解説していきます。
今回の記事をご覧いただき、自院にどのQRコード決済を導入すべきかの検討材料にしていただければ幸いです。
目次
・QRコード決済とは
・QRコードが普及した理由
・QRコード決済の支払方法
・QRコード決済のチャージ方法
・QRコード決済のユーザー側のメリット・デメリット
・主なQRコード決済の種類
・クリニックのためのQRコード決済の選び方
・まとめ
QRコード決済とは
QRコード決済とは、ユーザーがスマートフォンの決済アプリ上にQRコードやバーコードを表示して、店側がバーコードリーダーやカメラなどで読み取って支払う、あるいは店頭レジに掲げられている専用のQRコード(二次元コード)をスマートフォンのカメラで読み取って支払う決済方法です。
QRコードが普及した理由
株式会社インフキュリオンが発表した「決済動向2022年12月調査」(2022年12月)によると、QRコード決済の利用率(複数回答)は、2019年10月時点で36%でしたが、2022年12月時点では62%になっています。
QRコード決済が急速に普及している理由として、政府のキャッシュレス推進政策やQRコード決済サービスの還元キャンペーンのほか、非接触であるため感染症拡大の防止策になることなどが挙げられます。
各カテゴリーの利用率の推移 2015年3月〜2022年12月
(複数回答:N=20,000 ※ 12月実施の回はN=5,000)
現金利用の場面
現金利用したがキャッシュレスで支払いたい決済は、「医療機関」(63%)が最も多く、次いで「鉄道やバスの運賃」(62%)という結果でした。
この結果から、医療機関でのキャッシュレス決済の普及が望まれていることが分かります。
参考:株式会社インフキュリオン「決済動向2022年12月調査」
QRコード決済の支払方法
コード支払い(ユーザースキャン方式)
ユーザーがアプリに表示したQRコードを会計時に受付で提示し、店舗側がスキャナでスキャンし決済を行う方式です。
【支払い方法】
1) 支払いの際に、ユーザーが決済アプリでバーコードを表示します
2) 店側のスタッフがバーコードをPOSで読み取ることで決済が完了します
コード支払いの場合、専用末端を導入したり、POSレジと連携させたりする場合など、別途コストが発生します。しかし、POSレジと会計情報を連動させることができればスタッフ側の会計管理の手間が削減される可能性があります。
読み取り支払い(ストアスキャン方式)
店頭レジに掲げられている専用QRコードを読み取り支払いを行う方式です。
【支払い方法】
1) 支払いの際に、店舗に掲示してあるQRコードをユーザーが決済アプリで読み取ります
2) ユーザーが会計金額を入力します
3) 会計金額を店舗スタッフが確認し、ユーザーがスマホ画面上の支払いボタンをクリックし、決済が完了します
店舗側は、読み取り支払い時にQRコードを印字した用紙を用意するだけで良く、導入コストがほとんどかからないため、導入しやすい方法と言えます。ただ、ユーザー側が適切な金額を入力したかどうかを毎回チェックしなければならないため、確認の手間が発生します。
医療機関では、コストの低さから読み取り支払いを導入しているケースが多いようです。
QRコード決済のチャージ方法
QRコード決済の支払い方法は3種類あります。アプリにあらかじめチャージしておいた残高から引き落とされる「前払い」、QRコードにチャージせず、銀行口座から直接引き落とされる「即時払い」、クレジットカードを利用する「後払い」があります。
専用アプリでチャージする「前払い」
QRコード決済の「前払い」は、事前にQRコードの決済アプリにチャージして、その残高から支払います。チャージ方法は、ATMからQRコード決済のアプリに入金する方法や、銀行口座やクレジットカードと連携してチャージする方法があります。
銀行口座から即時引き落とされる「即時払い」
QRコード決済の「即時払い」は、事前に引き落とし先として登録した銀行口座から即時に支払いが行われる方法です。
クレジットカードから引き落とされる「後払い」
QRコード決済の「後払い」は、QRコード決済のアプリにクレジットカードを事前登録しておくことで、QRコード決済の支払い金額が毎月のクレジットカードの利用金額と一緒に請求される方法です。
QRコード決済のユーザー側のメリット・デメリット
ユーザー側のメリット
FeliCa(おサイフケータイ)非対応のスマホでもOK
基本的にコード決済アプリが動作し、QRコードの読み取りができるカメラとバーコードを画面に表示できるディスプレイがついていれば良いため、FeliCa(おサイフケータイ)非対応のスマートフォンでも使うことが出来ます。
手続きが簡単
QRコード決済だと、スマホひとつで決済が完了します。財布を出してお札や小銭などを取り出し、おつりを受け取ってまた財布にしまうという一連の動作がないだけでなく、暗証番号やサインの入力が不要のため、支払いにかかる時間が短縮できます。
ポイントの多重取り
多くのコード決済は、クレジットカード等でのチャージが可能で「コード決済のポイント」と「クレジットカード等のポイント」の重ね取りが可能となるケースが多いです。更にポイントカードの同時提示で三重取りが出来る場合もあります。
ユーザー側のデメリット
通信障害が起きると使用できない
スマートフォンの通信と動作、およびインターネットを通じた決済システムであるため、災害・有事または大規模障害により、大規模停電または通信事業者での通信障害が起きた場合、使用できないことがあります。
またスマートフォンの電池切れや故障、一時的な動作不良、スマートフォンの電波が圏外でも同様に使用できないケースがあります。
主なQRコード決済の種類
主要なQRコード決済の抑えるべき特徴を、2023年4月調査時点でまとめました。(※自社調べ)
QRコード決済には、取引手数料と振込手数料がかかる場合があります。ユーザー数だけでなく、店舗側が負担するコストも確認する必要があります。
主要QRコード決済比較表
決済アプリ | ポイント還元率 | 利用できる店舗数 | 初期費用 | 決済手数料 | 振込手数料 | 利用ユーザー数 |
LINE Pay | 0.50% | 309万カ所 | 無料 | 3.45% | 176円 | 3,000万人 |
d払い | 0.50% | 448万カ所 | 無料 | 2.60% | 200円※ | 4,375万人 |
楽天ペイ | 1.00% | 500万カ所 | 無料 | 3.24% | 330円 | 非公開 |
PayPay | 0.50% | 374万カ所 | 無料 | 1.98% | 無料 | 5,500万人 |
au PAY | 0.50% | 565万カ所 | 無料 | 2.60% | 無料 | 3,080万人 |
メルペイ | 無し | 264万カ所 | 無料 | 2.60% | 200円※ | 1,135万人 |
※入金が1万円未満の場合
クリニックのためのQRコード決済の選び方
①利用ユーザー数の多さ
せっかくQRコード決済を導入しても、患者様がそのQRコード決済をスマートフォンに入れていないと意味がありません。そのため、先述した表を参考に、利用ユーザーが多いものを選択することをおすすめします。
②導入後にかかるコスト
QRコード決済の導入には当然コストがかかります。主にかかるコストとしては、初期導入費用、決済手数料、振込手数料が発生します。
ただ、2023年4月現時点では、先述した表にあるように、初期費用が無料のものや、決済手数料が安価なものが大半となっています。
しかし、今後QRコード決済が普及するにつれて現在無料である導入費用や、決済手数料が発生することや価格が引き上げられる可能性もあります。 また定期的に導入キャンペーンが行われている場合もあるため、それらのタイミングを見計らって導入を検討することもおすすめです。
まとめ
今回は、QRコード決済の導入を検討しているクリニック様向けに、QRコード決済の基礎知識を解説させていただきました。
近年、QRコード決済が普及しており、患者様からのニーズも高まってきています。
今回のQRコード決済の基礎知識を元に、ぜひ自動精算機導入時には、QRコード決済導入もあわせてご検討してみてください。
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。
最終更新日:2024年7月23日
この記事の執筆者
株式会社APOSTRO 経営企画室
川越 雄太
大学卒業後、大手コンサルティング会社にて、医療機関のコンサルティングに従事。その後、医療介護人材紹介会社の経営企画部門を経て、当社へ入社。クリニックや薬局のコンサルティング、ITシステム導入支援のアドバイスを行なっている。