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2026年度の改定に向けて!どうなる急性期・回復期・慢性期の機能分化?

病院経営

2026年度の診療報酬改定に向けて、入院医療のあり方が大きく変わろうとしています。
これまでの改定では、主に人員配置や病床数といった定量的な基準が重視されてきました。しかし、2026年度の改定では、急性期・回復期・慢性期といった医療機能を明確に分化し、治療のプロセスやアウトカム(成果)を重視する評価体系への転換が柱となっています。
患者さんの治療成果や在宅復帰率、リハビリの改善度など、医療の質や結果をより明確に評価する仕組みへ移行することで、病院ごとの役割分担と機能強化を図ることが狙いです。本記事では、2026年度改定に向けた議論の背景・方向性・具体的な指標例をわかりやすく解説します。

急性期・回復期・慢性期の機能分化が議論されている理由

議論が進む背景には、高齢化の進行や医療資源の制約、地域医療構想の推進、診療報酬制度との連動強化など、さまざまな要因があります。ここでは、機能分化が求められている主な理由を紹介します。

1.高齢化と患者ニーズの多様化

日本は超高齢社会を迎えており、医療・介護の複合的なニーズを抱える高齢患者が急増しています。
複数の慢性疾患を抱えながら生活している高齢者も多く、急性期の治療だけではなく、リハビリや在宅療養、介護サービスとの連携といった、長期的・包括的な医療提供体制が必要です。
そのため、病状や回復段階に応じて急性期・回復期・慢性期の医療機能を整理し、それぞれの役割を明確にすることが重要となっています。

2.医療資源の最適配分と効率化

医療現場では、医師・看護師・リハビリスタッフといった人材不足が深刻化しており、病床数や財源にも限りがあります。限られた医療自然を地域全体でどう配分するかが、今後の医療体制を維持するうえで重要な課題です。機能分化と役割分担を進めることで、医療資源の有効活用と効率化が求められています。

3.地域医療構想と2040年問題

日本では、「2040年問題」が医療政策の大きな転換点とされています。
2040年問題とは、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護需要がピークを迎えると予測されている社会的課題です。
こうした背景のもと、国は地域医療構想のもとで、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の病床機能のバランスを再設計しています。
各都道府県でも、地域の医療需要予測に基づいた病床機能報告の分析が進められており、必要な医療機能をどこにどれだけ配置するかが議論されています。

4.診療報酬制度との連動強化

これまで病床機能報告は、実態把握のための報告制度にとどまっていましたが、今後は診療報酬制度とより密接に連動していく方針です。
病床機能報告の内容と、診療報酬上の施設基準・加算要件を整合させることで、実際に基づく機能分化を診療報酬で後押しする仕組みが検討されています。
例えば、急性期病棟であれば救急搬送や手術件数、回復期ではリハビリ成果や在宅復帰率といった具体的な指標が重視されています。

5.医療の質向上と長期入院の課題

日本の医療制度はこれまで、慢性期偏重・長期入院中心の体制に支えられてきました。
しかし現在は、急性期治療を適切な期間で終え、患者さんに応じて回復期リハビリ・療養・在宅医療へと円滑に移行する仕組みが求められています。
そのためには、入院期間の長さだけでなく、治療のプロセスやアウトカムを重視する評価軸への転換が必要とされています。

急性期・回復期・慢性期の機能分化と再整理の方向性

現在、中医協(中央社会保険医療協議会)の入院・外来医療分科会では、急性期・回復期・慢性期といった各病棟機能を明確化し、再整理する議論が進められています。
従来の病床区分ごとの加算体系や人員配置基準だけでなく、実態に即した機能評価・成果重視への転換が進む見通しです。
ここでは、各医療機能の再整理の方向性を解説します。

急性期

急性期では、以下の三軸で機能を明確化する方向です。

  • 救急搬送受け入れ実績
  • 全身麻酔手術の実績
  • 地域で果たす総合的役割

実績と地域での役割を重視した評価体系への移行が検討されています。
また、「総合入院体制加算」「急性期充実体制加算」など、類似した高機能加算の統合・厳格化も進められており、急性期機能を持つ病院の選別が進む見通しです。
さらに、看護師の確保やタスクシフト、ICT活用による業務効率化も重要な論点となっています。

回復期

回復期では、「リハビリ成果をどう高めるか」が中心的な論点です。
FIM利得やADL改善率といった定量的な指標を活用し、在院期間ではなく機能回復度を施設基準に組み込む方向で議論が進んでいます。
加えて、早期リハビリと地域連携も評価対象に加わる見込みです。入院中のリハビリにとどまらず、退院前の訪問指導や地域リハビリとの連携体制を整備し、在宅生活への円滑に移行を支える仕組みづくりが求められています。
栄養管理や口腔ケアの強化など、多職種連携によるリハビリ効果の最大化も重視されています。

慢性期・療養病棟

慢性期・療養病棟では、「状態を維持・改善する医療」を評価する仕組みへの見直しが進んでいます。
中心静脈栄養から経腸栄養への早期移行率、看取りの質や在宅復帰率など、アウトカム指標が評価対象として検討されています。
さらに、働き方改革や身体拘束の最小化、意思決定支援体制の整備といった医療の質向上策も論点です。職員の負担軽減と患者さんの尊厳を両立させることが目標です。
また、医療と介護の多職種連携を強化し、チーム医療や在宅復帰支援といった地域連携型の慢性期医療モデルの構築も重視されています。

在宅医療

在宅医療では、従来の再入院回避率や疾患悪化予防率などに加え、患者さんの生活や満足度、緊急対応体制、多職種連携などを含めた多角的な指標が重視される方向です。
自宅看取り率、緊急往診率・救急要請率、患者・家族満足度、症例非選別率、転倒・褥瘡の発生率、外来復帰率など、成果を多面的に評価する指標が検討されています。
また、ICTや医療DXの活用、多職種による情報共有・連携の仕組みも評価対象に含まれる見通しです。

今後の議論スケジュールと展望

2025年後半から2026年初頭にかけて、中医協や社会保障審議会で2026年度診療報酬改定に向けた詳細な議論が本格化します。
急性期・回復期・慢性期の再整理や加算要件、アウトカム指標、データ提出加算の強化などが主な論点です。
DPCデータやリハビリ実績、在宅アウトカムなどの実績提出がさらに重視され、アウトカム指標の妥当性と重症患者忌避防止の両立が焦点になります。
成果の数値を上げることを目的とした競争ではなく、患者さんの状態や地域特性をふまえた公平で現実的な評価基準の整備が求められます。

2026年度診療報酬改定に備えよう

2026年度の診療報酬改定は、病床数や人員配置といった量的な基準から、治療の進め方や成果といった質を重視する大きな転換点です。
自院がどの医療機能を担うのかを明確にし、診療実績や成果の見える化、医療の質向上、地域との連携強化などを総合的に進めていくことが重要です。 患者さんの背景や地域の特性を踏まえ、それぞれの機能を持つ病院が力を発揮することで、2040年問題を見据えた、より質の高い医療提供体制の整備が期待されます。

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